独GEAとの協業強化
共催セミナーで錠剤連続生産技術を紹介
医薬品の開発・製造受託企業(CDMO)として60年以上の実績を持つHovione(ホビオン)。ポルトガル、米国、アイルランド、マカオの4カ所に製造拠点を構え、医薬品原料を高温気流中で瞬時に乾燥・粉末化するスプレードライ技術などの粒子工学、製剤技術を強みとする。近年は固形製剤の連続生産にも力を注ぎ、米ニュージャージーとポルトガルのリスボンの拠点で連続生産設備を稼働させている。製剤機械のグローバルリーダーである独GEAと長年の協力関係を強化し、このほど新たな連続直接打錠機「ConsiGmaCDCFlex」を共同開発した。今後も両社は提携を通じた新製品開発や連続生産技術の普及に取り組む方針だ。ホビオンとGEAは、このほど都内で錠剤連続生産セミナーを初めて共同開催し、大手製薬企業で製剤開発に携わる研究者など30人以上が参加した。ホビオン、GEAの両社は、錠剤連続生産技術における先進性や、粉末原料から錠剤を製造するまで長時間を要した従来のバッチ製造を現在の連続生産では仕様により数週間から20分程度にまで短縮できることを紹介し、医薬品の市場投入を加速する技術メリットを解説した。実際にGEAの連続生産装置を導入した製薬企業によるプロセス検証や、アカデミアの視点から見た連続生産の有用性といった講演もなされた。ホビオンは同社が技術協力しGEAが上市したConsiGmaCDCFlexも紹介した。バッチ生産と連続生産を切り替えでき、アウトプットを1㌔㌘から200㌔㌘まで調整可能。需要が高まる高薬理活性製剤にも対応しやすい装置とした。ホビオンのフィリップ・ガスパー技術担当副社長は、化学工業日報の取材に対し、「ビジネス、技術ともに両社は親和性があり、連続生産だけでなくスプレードライなど他の技術も含め、さらにコラボレーションを深めていく」方針を語った。GEAの装置をホビオンがCDMOとして使用し改善・改良のためのフィードバックを継続的に行うことで、さらに新製品の投入につなげるサイクルが構築されつつあり、この事業モデルを一層拡大する。ホビオン日本法人の京山裕賢社長は、「日本市場での錠剤連続生産技術はまだ黎明期とみており、われわれの使命は技術の普及と採用促進にある」と意気込む。ホビオンは日本を「市場規模と製薬技術・医薬品開発能力の高さがある」として重点市場の一つに位置づける。日本の製薬企業の海外進出が進むなか、グローバル拠点を強みに案件獲得を目指す。
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